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○同役田中兵部太輔長胤の中間水練の事

拾遺 卷之二 第25話 · 段落 1 · NDL 1078984 406コマ L

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同役長胤合渡を渡らんとする時、中間の中に水練を能する者あり。是をして瀨踏せしむ。大雨の後水增りて淺瀨を知らず、諸人渡り兼ねける所へ、彼の中間川へ飛び入り、或は浮み或は沈みて甚だ深しと見えけるが、歸りて、淺く候、といふ。長胤、先に汝が涉りし體は深かりし體なるが、今淺しと云ふは如何、と被㆑尋ければ、彼の者答へて、淺き體を見候はば他の備より先を爭ひ渡り候はんと、わざと深き體を仕り候、といふ。長胤則ち淺き通を渡りて先登の功あり。彼の中間は、此功によりて合渡三郞左衞門と號し、士の列に入れられけるが、後に細川家に仕へて病死せり。