e089.p01校訂済85R:9–13別長篠にて信長の先陣と旗本との間に、堀切を構へ柵の木結ひて欺きて敗北すれば、武田の猛兵、敵は逃ぐると言うて追ひ來り、柵の木に行き惱みたる處を、數千の鐵炮雨の降るが如く打ち懸くれば、空彈無く中りて討たるゝ者數を知らず。引き退かんとすれば柵より出て附け慕ふ。戰を挑めば柵の中に入りて打ち白ます。勝賴の士大將勇氣餘り有りと雖も、打ち破るべき樣なく、皆的になりて討死しけり。