e100.p01校訂済90R:2–4別東照宮信長に御對面の時、松永彈正久秀側に在り。信長、此の老翁は世人の爲し難き事三つ成したる者なり。將軍を弑し奉り、又己が主君の三好を殺し、南都の大佛殿を焚きたる松永と申す者なり、と申されしに、松永汗を流して赤面せり。
e100.p02校訂済90R:5–10別東照宮後長臣等を召して、御物語有りける時、此の事を仰せ出され、先年信長金崎を引き退きし時、所々に一揆起り危かりしに、朽木が淺井と一味を疑ひ進退極りしに、松永信長に告げて朽木が方へ參りて、味方に引き附け候べし。朽木同心せば人質を取りて打具し御迎に參るべし。若し又歸り參らずば、事成らずして朽木と刺違て死したりと知し召されよ、と言ひて、朽木が館に赴き事無く人質を出させ、夫より信長朽木谷にかゝりて引き返されしなり、と仰せられしとぞ。