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○鳥井源八郞先登士志を論ずる事

卷之九 第4話 · 段落 1 · NDL 1078984 162コマ L

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山中の城を攻むる時、木村常陸介師春が士鳥井源八郞先駈して城に附名乘りけり。羽柴藤五郞秀一が士磯野平三郞續き來り、汝は首取源八と世に言はれたる譽の士なれども、田舍育なる故武功を辨へず。斯る場にては人は呆れ氣後する物なる故、爰にて名乘れば是に心附きて我先にと進む故、思ふ儘なる獨功名もならず、物の譯も知らず、名乘るまじき處にて名乘るなり、と笑ひければ、鳥井聞きて、平三郞は志の士と聞きしに、眞の士志をば知らざるよ。人の呆れたる時は尙高聲に名乘りて人に心を附け力を添へて、多くの人を用に立つるこそ武士の義なれ。獨高名をせんとするは小事なり。言ふに足らず、と答へしかば、平三郞言ふ事無かりけり。