e477.p01校訂済348R:7–12別大坂夏の軍に、越前の士大將本多伊豆守富政が一陣に、首百七十三取りたりければ、我に優れる首數は有らじ、といふ處に、落合美作守、我こそ增りたれ、といふ。伊豆、何故ぞ、といへば、落合聞きて、本多には、組に附けられし士の祿凡七萬五千石に及べり。斯く申す美作は一萬石の祿にて、首四十八取りたり。祿の多少にて士卒の多少ある事は言ふにや及ぶ、といへば、東照宮の使番諸星金右衞門、柱に倚りて居眠りしが、目を開き、落合の詞尤理なり、と言ひしかば、本多詞無くて止みぬ。