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○大音主馬助先登を論ずる事

卷之二十三 第12話 · 段落 1 · NDL 1078984 356コマ R

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加賀利常に仕へし大音主馬助に、若き人々數多、如何に大音心は猛く候はん。されども今は走る事叶ふまじ。麒麟も老いぬればといふ事思ひ出され候、といふ。主馬聞きて、五町十町駈走りても、敵の眞中に只一人駈出る事なり易き事にあらず。早く走りたればとてさのみ益なき事なり。先に駈行く人有りて後に續くを待たれば、此老人も續くべし。鎗間は僅六七間に過ぎず。主馬が如き老衰へたる身も、其時心剛ならば後れまじ。五町十町走る事は若き人のなし易き事なれども、六七間の際に至りて箭玉烈しければ、若きとて走られぬものなり、と言ひしに、皆詞無かりけり。