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長親、矢作川で早雲の軍勢を退ける編集見出し

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長親わづか雜兵五百餘の內外にて、安祥之城を出させ給ひ、くはご、つゝばり、や羽ぎゑあがり、河崎を押上而、矢矧河を越させ給ふを、北條之新九郞聞而さらば備を出せ陣をせん。殊更敵は少勢成と盺。謳さけびて段々に出る。東三河衆、牛久保之牧野、にれん木之戶田、西之郡之鵜殿、作手之奧平、段嶺之蒯沼、長間之蒯沼、野田の蒯沼、設樂、す瀨、西鄕、伊名之本田、吉田衆、遠江衆には宇豆山、濱名、堀江、伊野谷、奧野山、乾、二俣、濱松、蚖堬、原河、久野、懸河、藏見、西鄕、角笹、天方、堀越、見藏、無笠、鷺坂、森、高天神、蠅原衆、其外小侍供、又は駿河衆、三浦、朝伊名、瀨名、岡部、山田、其外は北條之新九郞を旗本として、何れも〱我をとらじと、先陣之あらそひ、段々にそないを立、とうらうが鉞とかや、いさみにいさんで事供思はず、長親者何にも心をしづめさせ給ひて、逸物之犬の虎をねらふがごとくに、大軍をにらめさせ給ひ而、靜々と係せ給ふ。味方之兵どもも度々事に相付たる者どもなれば、敵方寄嵩を懸て、爭供洞天するな。小軍が大軍にかさを被㆑懸それに寎而武ば物前に而勢がぬくる者成。敵は𧨕ば諫何にも心を大事として心に成、胸の內には一足無間と念じて、𧨕てついてかゝる事なかれ、位詰めにしてつきくづせ、然る時者敵方寄、小勢と思ひ下目に懸て鑓を可㆑入、そこにて一足無間と心得而、立處をさらずして、じり〱と根强くつき可㆑入、そこをはつしとこたゑなば、かさを懸たる敵はかならずまはすべし。敵坎とてもをうべからずして洞天なく、丸く成而二の手を待而二の手もくづれたりとも、旗本又は後そないのくづれざる內何度敵くづるるとも亂ずしてかたまれ、小勢はかたまりて中を戮通れと云而かゝる。案のごとく敵方寄突いてかゝるを、一二の手迄戮くづせば、又入替而かゝるを折しきて待懸而、引請而突きくづせば、胠寄又入歸而かゝるを待請而ついてかゝりてつきくづせば、新九郞旗本迄迯げかゝる。然る間夜陣に成敵味方をみわけずして震動する。其儘押懸給はゞ新九郞も敗軍可㆑有けれども、軍兵ども早せいきがきれて、何としてもつかれたる故、其を引のけ矢萩川を前にあてゝ御旗を立給ふ。合戰之場は河むかい新九郞陣場之下なれば、夜明而新九郞方寄、今夜之合戰者し場を取たる間、此方之勝と云而よばわる。然る處に田原之戶田申けるは、駿河を賴而者上下も六ヶ敷き長親と申合而、駿河と手ぎれをせんと申を、新九郞其を聞而、我は西之郡之城普請をみて、させて頓而歸んとて、馬まはりの者計引つれて出けるが、西之郡へは行ずして、すぐに吉田得引入。諸勢者是を聞、跡寄足々にして吉田へ引く。其寄新九郞西三河ゑ出る事不㆑成、長親は安祥へ引入給ふ。其後は猶以國中の者ども異儀には不㆑及、扨又次男內前殿には櫻井之城を參せられ、三男新太郞殿には靑野の城を參せられ、松平勘四郞殿には藤井を參せられ給ふ。同右京殿にはふつかまと東ばたを參せられ給ふ。信忠へ安祥を御讓給ひ而、ほど無御遠行成。