然間、氏直合陣之時之、御無事のきりくみに、氏なほよりはぐんないと、作之郡、諏訪ぐんを渡し可申とて、是を渡しける。家康寄は、ぬまたを御渡し候へと御諚に付而、氏なほ寄は、御やくそくのとおりに渡り申に付而、然ば、ぬまたを小田原へ、渡し申せと仰被越候時、眞田申けるは、沼田之儀は上寄も被下ず、我等手がらをもつて取奉る沼田なり。其故今度御忠節と申に付而、其御約束被成候、筋めの儀も御座候處に、其儀にさへ御手付も無御座候へば、御恨に奉存候處に、賸我等がもちたる、ぬまたを渡せと、仰被越候儀、なか〱思ひもよらずとて、渡し不申。其故御主には仕間敷とて、くわんばく殿へ申依る。