e092.p01校訂済86R:8–13別長篠合戰の前信長謀を廻らし、佐久間信盛より潛に長坂釣閑が許に使を遣はし、日比信長に恨むる子細あり。願はくは勝賴軍を進め戰あらんには、其の時信盛裏切して信長の旗本へ俄に切り懸るべき旨を言ひ送りしかば、釣閑悅んで之を謀るとは知らず、勝賴に一戰を勸めける故、馬場美濃守信勝を始として、侍大將の軍評定して言ひける事共を勝賴悉く用ひずして、楯なしを誓つて進んで軍すべき、と決斷せられしかば、其後は諸大將諫むる事を得ざりけるとなり。