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○栗田刑部幸若が舞所望の事附時田が首實撿の事

卷之四 第27話 · 段落 1 · NDL 1078984 91コマ L

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東照宮高天神の城を圍ませ給ひ、柵を附けて固く守らせらる。城中後詰を乞へども勝賴出でず、粮盡きけり。栗田刑部使をもて幸若が舞を一曲所望し、是を今生の思ひ出にせん、と申しけるを、東照宮聞し召し、優くも言ひけるよ、とて幸若に高館を舞はせらる。栗田が最愛の小姓時田鶴千世と言ひし者に、絹組樣の物を持たせ出して幸若に贈り與ふ。其の後落城の時、時田討死しけるを首を取りたれ共、女の首なるべしと人々疑へり。東照宮聞し召され、眼を開き見よ。女ならば白眼なるべし、と仰せ有りければ、開いて見るに黑眼あり。又幸若忠四郞も高館を舞ひける時見知りたりければ、時田が首に定りけり。