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○本庄正宗の刀の事

卷之九 第30話 · 段落 1 · NDL 1078984 172コマ R

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本庄越前守繁長は越後の勇將なり。後景勝上杉十郞憲景が祿を本庄に與へらる。本庄出羽の庄內大寶寺義興と戰ひ勝ちて、二男千勝丸に庄內を與へけり。本庄最上義光と出羽の千安が表にて軍しける時、最上の軍敗北せしに、義光の士大將東漸寺右馬頭口惜き事に思ひ取つて返し、首一つ提げて越後の兵に紛れ、繁長を目に懸けて、只今敵の大將を討つて候。實撿に入れ奉らん、と言ひて馬に鐙を合せ、駈け寄りて正宗の刀を以て冑を打つ。明珍の冑なりしかば筋四つ切削りたり。繁長右馬頭を切つて落し、首に添へて景勝に出したり。刀をば本庄に返し與へられしが、後故有りて東照宮の御刀となり、本庄正宗と言へるは此刀なり。