信長江州小谷の城攻に
伊藤七藏先駈したるに、從者取附きたる故、上帶切れて刀も脇差も塀下に落つ。
七藏少しもひるまず乘込んで、柵の木取つて敵三人叩き伏せ功名しけり。
七藏父を
若狹といふ。
相州の人にて武者修行し、
尾州前田村に居ける頃、
信長呼び出されけり。
七藏尾州三本木の軍に、事急にして編笠を冠りながら一番鎗を合せける故、
信長大に賞美して編笠と呼ばれけり。後
秀吉に仕へて度々功名有りしかば、紫紬井筒の紋廣袖の小袖を與へられければ、甲の上に著たり。
秀吉の旗奉行と成りたり。