常山紀談本文データベース

目次 › 卷之十三 › e309

○寺澤廣高加藤嘉明度量の事

卷之十三 第6話 · 段落 1 · NDL 1078984 219コマ R

人物地名家(氏)官職日付索引へ

關ヶ原にて東照宮未だ岡山に御著陣無き已前、諸大將地の利に據りて面々陣取りたりしに、或夜諸陣俄に騷ぎけり。寺澤志摩守廣高臥ながら徐に、我旣に聞きたり、と言ひて、鼾かいて寢られけり。廣高士六人步の者六人を物聞とす。三番に互に代りて途を異にして、少の事も必ず告げ來る。今夜告げ來らざれば夜討に非ざる事を元より知られたる故なり。其明くる夜忍びて加藤嘉明の陣所を通る者あり。捕へて、忍びか火附か切つて捨てよ、といふに、嘉明、其士は主君の爲に死を顧みず。吾陣所の備怠らず、彼如何にして吾を窺ふべき。殺すと殺さざると勝敗に關らず、とて追放たれけり。