e308.p01校訂済218L:8–12別合渡にて東國方の軍北ぐるを追ひて赤坂まで進み行く時、高虎の士大將藤堂玄蕃、赤坂の町口に駈入り大音あげ、百姓商人を惱ますに非ず。惡逆の輩を討ち平げ、靜謐を致さん爲なり。皆ちつとも騷ぐ可からず、と觸れ通り、其後小家一つ二つ引壞ち、東の方の町端にて相圖の煙を立てけり。高虎大に悅んで、傳へ聞きし古の王者の軍を學べる玄蕃哉、とて其日著られし唐冠の冑を脫ぎて與へられぬ。