e328.p01校訂済229R:5–10別田中兵部大輔の士田邊甚兵衞、十四歲にて關ヶ原に出で、從者敵を突伏せ、田邊を馬より抱下して首を取せしとなり。幼少にて武功世に名高かりければ、黑田長政、田邊に逢ひて大に感賞し、田邊をとりかひたる從者を呼出し、其事を問はるゝに、馬より抱下したるに、刀を抽いて振ひければ恥しめて首を取りたり、と云ふ。長政、さては勇士なり。振はずに懸りたらば途方なき故と言ふべし。恥しめられて首を取りたるは、勉め勵ますによりて勇氣を致す所なり、とて彌褒められけり。