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黒田長政
本文表記 長政・黑田長政・殿・松千代・黑田・甲斐守・。長・黑田父子・吉兵衞・甲斐守長政・筑前守・甲州・、長・黑田甲斐守・黑田殿・若殿・父上・、黑田長・黑田肥前守長政
小寺黑田始末の事 卷之五 · 5
- p01…黑田父子此處に有りて、秀吉に賴みて信長の旗下に屬す。孝隆の子長政、其比は松千代と言ひしを、人質にして秀吉の居城近江の長濱に置…
- p01…に有りて、秀吉に賴みて信長の旗下に屬す。孝隆の子長政、其比は松千代と言ひしを、人質にして秀吉の居城近江の長濱に置きたり。此比毛…
- p01…旦天下に旗を擧げられん。行末は知らず先時の宜しきに隨ふべし。松千代を棄つるを悲み、斯く申すに非ず、と諫めけり。小寺聞き入れず、…
- p01…きたり。小寺兼て村重に密に毛利に一味すべきに、黑田父子人質の松千代を信長に出し置きたれば、彼の父子は織田に內通の志有りと告げ知…
- p01…に力なき次第なり。然るに官兵衞を救はん事謂無きに非ざれ共、先松千代を信長に出せし事は、君も又臣父子と相計れる處にて候に、今度官…
中村一氏紀州の一揆を追拂はれし事 卷之六 · 2
薩摩勢根白の砦を攻むる事 卷之八 · 3
黑田家岐井谷合戰の事竝小川傳右衞門野村太郞兵衞岐井友房を斬る事 卷之九 · 40
- p01…る子孫なり。毛利壹岐守勝信に誘れ、地士を驅催し民屋に放火す。黑田父子は馬の岳と云ふ城に有りけるを、城下に押寄する。長政其時十六歲…
- p01…火す。黑田父子は馬の岳と云ふ城に有りけるを、城下に押寄する。長政其時十六歲。岐井を討つ可きと勇まれけれども孝隆同心せられず。…
- p01…其時十六歲。岐井を討つ可きと勇まれけれども孝隆同心せられず。長政其頃は吉兵衞と言ひけるが、若士共引具し切つて出づれば、一揆共…
- p01…。岐井を討つ可きと勇まれけれども孝隆同心せられず。長政其頃は吉兵衞と言ひけるが、若士共引具し切つて出づれば、一揆共一支もせず敗…
- p01…衞、小河傳右衞門、久野四郞兵衞馬の首を引返し敗北しけれども、長政の馬廻は眞丸に成りて、一揆勝に乘り押詰めけれども鎗を合す。一…
- p01…で、狩場の鹿を射る如く竹の鏃の矢にて雨の降る樣に射たりけり。長政馬より下り立ち討死すべき色なりしを、近習の者共馬に搔乘せ退き…
- p01…なりしを、近習の者共馬に搔乘せ退きければ、一揆頻に追駈けり。長政の馬矢に中りしかば爰にて自害せん、と言はれしを菅六之介政利、…
- p01…の所にては候はず、とて搔抱き馬に打乘せ、片手に馬を牽き片手に長政を把へて、我等生殘りたるに殿を追討つとや、念もなく候。地の利…
- p01…に打乘せ、片手に馬を牽き片手に長政を把へて、我等生殘りたるに殿を追討つとや、念もなく候。地の利を見て引返し、一揆の奴原追崩…
- p01…地の利を見て引返し、一揆の奴原追崩し申さん、とて引退く。菅は長政の鞦の組違に手を掛けて少も離れず。木屋兵右衞門は長政の鎗を持…
- p01…く。菅は長政の鞦の組違に手を掛けて少も離れず。木屋兵右衞門は長政の鎗を持ちて步立にて續きたり。一揆長政と見知り餘さじと附慕ふ…
- p01…離れず。木屋兵右衞門は長政の鎗を持ちて步立にて續きたり。一揆長政と見知り餘さじと附慕ふ。三宅、菅、木屋を始として岡本彌兵衞、…
- p01…慕ざりけり。後藤は如何したりけん、猩々緋の羽織を脫捨たりしを長政取らせ歸られけり。…
- p02…後に岐井谷の軍物語に及べば俄に病み出でしとぞ。木屋兵右衞門は長政に向ひ、後藤、小河が有樣大臆病の男にて候を、親子共に取分て懇…
- p02…し。偖も〱歎かはしき御眼力や、と飽くまで罵りて退きけり。其後長政筑前を賜はりしに、小祿の士皆祿を增したりしに、兵右衞門は六百…
- p02…に鐵炮の者二十人司れり。さのみ賞美無かりしかば、人々、木屋に殿を岐井谷にて罵りたる事を、嫉く殿は思召して斯は有るならん、と…
- p02…美無かりしかば、人々、木屋に殿を岐井谷にて罵りたる事を、嫉く殿は思召して斯は有るならん、と言へば、木屋、我も左思ふ事よ。此…
- p03…孝隆は馬の岳の矢倉に上り、長政の敗軍を見て笑ひ居られしかば、側より、危く候、疾加勢をせさせ…
- p03…れども、否々引き後れたる味方の眞丸になり、靜々と道を引退くは吉兵衞なるべし。危ふげもなし、と言はれしが、果して長政事故無く引返…
- p03…を引退くは吉兵衞なるべし。危ふげもなし、と言はれしが、果して長政事故無く引返されたり。長政敗軍を口惜しとて引籠り、夜の物打被…
- p03…危ふげもなし、と言はれしが、果して長政事故無く引返されたり。長政敗軍を口惜しとて引籠り、夜の物打被きて臥し居たり。孝隆物主を…
- p03…勝すぐれば必ず敗の本なり、と戒められけり。鹽屋善七郞といふ侍長政の近習に仕へしが、京に使に行き、此日の暮頃に歸りて長政の寢所…
- p03…いふ侍長政の近習に仕へしが、京に使に行き、此日の暮頃に歸りて長政の寢所に行き、今日の敗軍是非も無き事に候。然ばかりの者共小辨…
- p03…き、今日の敗軍是非も無き事に候。然ばかりの者共小辨を捨殺し、殿をも捨てて逃げたりと承り候。殿もよき討死の所にて候ひき。何と…
- p03…。然ばかりの者共小辨を捨殺し、殿をも捨てて逃げたりと承り候。殿もよき討死の所にて候ひき。何とて敵に後を見せ給ふや。父祖の高…
- p03…一揆と軍有らんに必死と思召し定められよ、とて坐を立ちければ、長政も髻を拂ひ思ひ切つたる體なり。翌日善七郞又申けるは、あながち…
- p03…軍する程ならば、鬼神なりとも恐るゝに足ず、と云ひ慰めければ、長政起き上り物語せられけり。長政は面目無しとて父の前に出ず。孝隆…
- p03…恐るゝに足ず、と云ひ慰めければ、長政起き上り物語せられけり。長政は面目無しとて父の前に出ず。孝隆、扨は必死を期したるなりと察…
- p03…の前に出ず。孝隆、扨は必死を期したるなりと察し、老功の者數多長政に差添て早りたる下知を禁ぜられけり。一揆又上毛郡へ押寄せけれ…
- p03…添て早りたる下知を禁ぜられけり。一揆又上毛郡へ押寄せければ、長政火隈の海近き所の山に上り、待ちかけて思ふ圖に引受け、一同に乘…
- p03…る處を追立てたり。鬼木鹽田など言ふ者討たれ散々になりけるを、長政鹽田內記を手づから討取り、尙も追ひ駈けんとせられしを、老臣共…
- p03…鹽屋善七郞は敵の中に乘入り鬼木掃部が首を取り、右の方を見れば長政敵の首を取りたりしかば、又馬引寄せて打乘り、追詰めて首二つ取…
- p03…り、追詰めて首二つ取りしが、痛手負ひて精神も亂れたるが、尙も若殿の功名を問ひ聞きて、嬉しや先日の恥辱を雪がせ給ひぬ。此上は思…
- p03…先日の恥辱を雪がせ給ひぬ。此上は思ひ置く事無し、と云ひけり。長政善七郞が枕元に居寄られしかば、長政の手を取り、此後能く心得候…
- p03…ひ置く事無し、と云ひけり。長政善七郞が枕元に居寄られしかば、長政の手を取り、此後能く心得候へ。殿に討死し給へと申す者は無き事…
- p03…郞が枕元に居寄られしかば、長政の手を取り、此後能く心得候へ。殿に討死し給へと申す者は無き事に候、と云へば、長政淚を流し、汝…
- p03…能く心得候へ。殿に討死し給へと申す者は無き事に候、と云へば、長政淚を流し、汝を先立つる事の殘多さよ、と咽ばるれば、善七眼を見…
- p03…ども、卒爾の軍は爲ざる故に終の勝を全うするよ、と敎へられぬ。長政又押寄せんと云はれしを、孝隆制して要害を設け、兵粮の道を塞ぎ…
- p03…らで容易にも申出でたる哉。事調ずば面目も候はず、など言ひて、長政に斯と告げて孝隆にも告遣りしかば密謀をなし、三宅に孝隆書を與…
- p03…挾むを相圖に、傳右衞門一の太刀、太郞兵衞二の太刀と定めたり。長政盃を指しける時野村肴を持ちて出けるが、持ちたる臺を友房に投附…
冑の名樣々有りし事 卷之九 · 1
- p01…峙ちたる山なれば斯く名附けしとかや。此餘浦野若狹守が小水牛、黑田長政の大水牛、日根野が唐冠の冑、原隱岐守が十王頭、福島正則の四ま…
黑田孝高法體の事 卷之九 · 1
- p01…れまでの望を水の泡になさんと云ふ心にて如水と號し、家督を子息甲斐守長政に讓りて隱居をなしにける。…
黑田長政慢言の事 卷之九 · 1
- p01…黑田長政常に人に謂つて云へるには、我れ年齡十四より今に至るまで拔群の…
朝鮮南大門合戰附後向の備の事 卷之十 · 5
- p01…本の先陣は隆景仕らうずるにて候。人に先陣をば駈けさせじ、とて黑田長政、久留米秀包打連て都城に歸られしが、南大門の外碧蹄館に陣せら…
- p01…、宗茂每も仕るにて候、と答へられけり。此軍未だ始らざりし時、黑田長政唯一騎步の士六七人召具し、隆景の旗本に來る。隆景、よくこそ來…
- p01…よくこそ來られ候へ。先陣の粟屋に力を添へ給へ、と言はれしに、長政悅びの色面に顯れて、承り候、とて先陣に向はれけり。殊に寒風烈…
- p01…承り候、とて先陣に向はれけり。殊に寒風烈しう吹きたりければ、長政大綿帽子を被られしが、先陣に行きて帽子を脫いで、世に聞えける…
- p01…景の軍兵ども是を見て、今日の軍に勝ちたり、と勇みけるとかや。長政今年二十五才、武勇を斯く人に信ぜらるゝ事並々には非ざりけり。…
吉田又助川幅を積る事 卷之十 · 2
菅政利後藤基次虎を斬る事附羅山先生南山銘の事 卷之十 · 3
後藤基次龜甲の車を造る事 卷之十 · 1
- p01…晋州の城を攻めらるゝ時、黑田長政の士大將後藤又兵衞基次、龜の甲といふ車を作出せり。厚板の箱を…
和寧館合戰栗山利安武功用意の事 卷之十 · 7
- p01…慶長二年日本の軍復渡海し、黑田長政の先陣栗山備後利安、後藤又兵衞基次、衣笠因幡、母里但馬、黑田…
- p01…寧館豐臣家譜全義館に陣せし處に、明の援兵押寄する。其由長政に告げよ、とて書簡を書きけるを利安見て、敵懸り候間早々に救は…
- p01…せてぞ告げたりける。斯くて敵寄來れば利安先陣して打破りたり。長政聞くと等しく打出て揉みに揉んで駈け來られしに、敵早護龍臺を指…
- p01…らぬに、利安目を見出し、押寄する敵に辭退する事や候、と申す。長政、汝等討死せば我生甲斐無しと思ひて斯くは言ひしなり。何とて疾…
- p01…て候。假令屍を異國の野原に晒すとも、名は後の世に傳はるべし。黑田が先陣の剛の者共、大敵に取卷れ潔く討死したりと言れなん。又疾…
- p01…く討死したりと言れなん。又疾く救はせ候へと申さんには、後日に黑田が者共主君の援ひを待ち兼ね、皆打殺されたりと人に笑はるべし。…
- p01…に暇乞と存じて、告げ奉る書簡殊更に改め申しき、と申しければ、長政大に悅ばれけり。…
栗山利安儉約の事附日根野備中守黑田家に銀を返す事 卷之十 · 2
七人の大將石田を討たんとせられし事 卷之十二 · 1
- p01…慶長四年大坂に在りたる諸將の中、福島正則、淺野幸長、黑田長政、已下七人石田と不和なりし人々、使ひを以つて、朝鮮に有りし時…
下野國小山にて上杉入庵議論の事 卷之十二 · 1
- p01…杉義春入道入菴、末席に有りしが進み出で、福鳥正則、加藤嘉明、黑田長政に向ひ、各思慮にも及ぶ可からず。人質を三成に出し置き、只今御…
後藤又兵衞決斷の事 卷之十三 · 1
- p01…岐阜を攻破る時、黑田、田中、藤堂等の諸將は犬山を押へたりしに、犬山の城明退きける…
合渡川合戰黑田三左衞門毛附の功名の事 卷之十三 · 3
神谷小介先登の事 卷之十三 · 6
- p01…合渡の軍に長政の內神谷小介先駈して川を涉り、待ちかけたる敵の中に喚いて駈入…
- p01…る敵の中に喚いて駈入りければ、鎗玉に揚げられ旣に危かりし時、長政の軍兵進み懸りて敵を追つ立てければ、小介流るゝ血に朱に染みた…
- p01…を追つ立てければ、小介流るゝ血に朱に染みたるを戶板に載せて、長政の前に來る。小介、今日我と先を爭はん者長政ならでは有る可から…
- p01…るを戶板に載せて、長政の前に來る。小介、今日我と先を爭はん者長政ならでは有る可からずと思ひ、長政を屹と見て、小介より先立ちて…
- p01…。小介、今日我と先を爭はん者長政ならでは有る可からずと思ひ、長政を屹と見て、小介より先立ちて鎗を合せ候者一人も候はず、と申し…
- p01…て、小介より先立ちて鎗を合せ候者一人も候はず、と申しければ、長政、汝ならで誰か先駈すべき。手負ひ候者の氣を張りて物言ふは惡し…
毛屋主水物見の事 卷之十三 · 6
- p01…しに、馳歸りて、敵或は八九萬又は十萬許も候らん、といふ所に、黑田長政の物見毛屋主水、敵は一萬によも過ぎ候はじ、といふ。軈て東照宮…
- p01…川上を渡し候。子細は馬の沓草鞋の流れ候故に察し候、といへば、長政、尤なり、とて渡されしとかや。主水後千五百石の祿なり。此時は…
- p01…の祿なり。此時は旗奉行たりしが、合渡の軍に如何にしたりけん、長政の旗しどろに成りし時、主水馬より飛下り、鎗の鐏を以て旗竿を俯…
- p01…て固く戒め、主水もえい〱と聲をかけて押立てたり。又關ヶ原にて長政の旗卑き所に立てたりければ、長政、あとの高き所に立てよ、と下…
- p01…けて押立てたり。又關ヶ原にて長政の旗卑き所に立てたりければ、長政、あとの高き所に立てよ、と下知せらる。主水、進んだる旗を退く…
- p01…退くる程ならば、敵に勢を附け候ひなん、とて遂に旗を立直さず。長政後に此二事を賞せられけり。…
關ケ原合戰島左近討死の事 卷之十三 · 5
- p01…黑田長政はもとより石田と不和なりしかば、關ヶ原合戰の前選り立てたる士…
- p01…、百人許引具し、柵より出て過半柵際に殘し、靜に進み懸りけり。長政馬より下り立ち、鎗を提げて睨み合ひたる處に、菅六之介政利少し…
- p01…んだる敵手負ひて、左近も死生は知らず倒れしかば、ひるむ所を、長政㗢と押懸り切り崩されけり。左近は肩に掛けて其處を退きぬ。菅後…
- p01…は肩に掛けて其處を退きぬ。菅後に六千石の祿賜はり和泉と稱す。長政筑前の國領せられて後、關ヶ原にて撰に合ひ、長政の側に有りて軍…
- p01…り和泉と稱す。長政筑前の國領せられて後、關ヶ原にて撰に合ひ、長政の側に有りて軍しける人々集りて閑話しけるが、石田が士大將、鬼…
飯尾甚大夫一騎先駈の事附成合平左衞門が事 卷之十三 · 2
田邊甚兵衞幼年功名の事 卷之十三 · 2
石田三成生捕らるゝ事 卷之十五 · 1
- p06…縛らざりしは天運なり、と云ひければ、正則ち詞無く過ぎられぬ。黑田長政通られしに馬より下りて、不幸にて斯くなり給ひぬ。是を、とて著…
黑田如水豪氣の事 卷之十五 · 7
- p01…所の城共攻落し、筑前、筑後の浪人共相集り大軍に成りし時、嫡子長政の使來り、關ヶ原にて石田を始め敗北し、金吾中納言秀詮は、長政…
- p01…長政の使來り、關ヶ原にて石田を始め敗北し、金吾中納言秀詮は、長政の謀によりて裏切せられし由告げられしかば、如水大に怒り、空果…
- p01…よりて裏切せられし由告げられしかば、如水大に怒り、空果てたる甲斐守かな。天下分目の軍はわざと月日を過して、浪人のすぎはひを與ふ…
- p01…人のすぎはひを與ふるものなり。何事の忠義だてぞ。日本一の空は甲斐守なり、とぞ呟かれける。其後長政に筑前を賜はりければ、如水も京…
- p01…事の忠義だてぞ。日本一の空は甲斐守なり、とぞ呟かれける。其後長政に筑前を賜はりければ、如水も京に上られけるに、諸國の大名如水…
- p01…方に心安く立入る人の中にも、如何なる目附をか設けられたらん。筑前守の武略德川殿の賞恩淺からず候に、斯くては筑前守の爲に惡かりな…
- p01…けられたらん。筑前守の武略德川殿の賞恩淺からず候に、斯くては筑前守の爲に惡かりなん。德川殿頻に用心有るも皆如水を恐れての事なり…
黑田如水遺言の事 卷之十八 · 1
- p01…慶長十九年黑田孝隆入道如水、病重く成りて子の甲斐守を呼び、汝は親に優れる事有り。我も亦汝に優れる事二つ有り。語…
黑田滿德丸袴著の時母里但馬舞をまひし事 卷之十九 · 18
- p01…黑田長政の嫡子滿德丸とて、四の歲袴著の祝有り。母里但馬はひき目親にて…
- p01…られしが、其時但馬滿德丸の髮を搔撫でて、疾く成長して功名し、父上より克くし給へ、と申しければ、長政、何といふ事ぞや。我武略を…
- p01…でて、疾く成長して功名し、父上より克くし給へ、と申しければ、長政、何といふ事ぞや。我武略を貶するか。若き時は汝又備後栗山…
- p01…。人の子に功名し給へと云ふは僻事か、とて物ともせざる體にて、長政の方を見向もせず。長政、否父より優れとは如何に、と怒られしか…
- p01…云ふは僻事か、とて物ともせざる體にて、長政の方を見向もせず。長政、否父より優れとは如何に、と怒られしかば、但馬打笑ひ、心を靜…
- p01…とならば必ず敗北有るべし。味方崩れたる時一足も引かず討死は、殿の得ものなり。其は大將の道にあらず候。味方を討たせず軍に勝つ…
- p01…は大將の道にあらず候。味方を討たせず軍に勝つを良將と申し候。殿の武略進む一途は得ものにて御座せ共、進退圖に中る一途は缺けて…
- p01…にはする事に候。此詞よく覺えて疾くより能し給へ、と髮を撫でて長政の怒を物とも思はぬ氣色なり。備後守次の間に酒宴して有りしが聞…
- p01…の間に酒宴して有りしが聞きつけて、銚子土器取持ちて走り出で、長政の前に跪き、憚も顧みず進め奉り候、とて盃を差置き、若き時如水…
- p01…酌は致し習ひし、小笠原の禮儀存じ出し候、とて酒を進めければ、長政打解け盃を傾けられしかば、夫を但馬に賜り候へ、とて、狂人よ。…
- p01…と言ひければ、但馬進み寄り其盃を戴きて、三度引受け飮みて後、殿は由無きに怒り給ひ、今日の祝に興醒め候。少し醉ひ給へ、と云ひ…
- p01…に怒り給ひ、今日の祝に興醒め候。少し醉ひ給へ、と云ひしかば、長政も又盃に十分引受けられし時、但馬、いざ肴よ、とて田村を謠ひ出…
- p01…なりければ、備後守高聲に、若き人々能く聞かれよ。心掛の深きも殿、又思慮無きも殿なり。大戲者は但馬、又賴母しきは但馬なり。黑…
- p01…守高聲に、若き人々能く聞かれよ。心掛の深きも殿、又思慮無きも殿なり。大戲者は但馬、又賴母しきは但馬なり。黑田の家の武勇目出…
- p01…は何事も許し給ふぞ。人々謠へや舞へや、とて酒宴止みてけり。又長政或年の春歲初の祝に、栗山備後守が許に行かれしに酒宴有り。四つ…
- p01…初の祝に、栗山備後守が許に行かれしに酒宴有り。四つ比に及んで長政、我居たらば、若き者共酒思ふ程得飮まじ。後にて打解けて酒宴せ…
- p01…に懇に詞をかけ、人の悅ぶ樣にこそ有りたけれ。兎角我儘の直らぬ殿なり。頂に大きなる灸をしてこそ能かりなめ、と大音にて云ひしを…
- p01…り。頂に大きなる灸をしてこそ能かりなめ、と大音にて云ひしを、長政聞かぬ體にて歸られけり。…
郡主馬が事 卷之二十二 · 2
後藤又兵衞が事 卷之二十二 · 12
- p02…後藤は元黑田長政の士大將なり。長政或時物語の序に、今我に代りて軍兵を下知し、…
- p02…後藤は元黑田長政の士大將なり。長政或時物語の序に、今我に代りて軍兵を下知し、大功を立つべき者我…
- p02…器量有りと申せども、又兵衞に肩を並ぶべき者は候はず、と答ふ。長政飽まで勇將なりしかば、政次が武略を妬まれし故氣色惡く見えけり…
- p02…倉の防なり。故有りて政次が子隱岐追出されしを呼び返し給へ、と長政に申せども、聞入れられず怨むる時、政次が二男又市を長政籠せら…
- p02…へ、と長政に申せども、聞入れられず怨むる時、政次が二男又市を長政籠せられしが、博多の祇園の宮にて猿樂の有りし時、鼓を打て、と…
- p02…共に出奔しけるを、忠興鐵炮二百に士を添へて迎寄せられしかば、長政と旣に軍に及ぶべく成りしを、江戶より和平せられ、政次をば何方…
- p02…りしに、忠興、我黑田の家と不和なれば、之より後の事計り難し。長政の軍だて能く知つたるらん。如何にして討勝ち候べき、と問はれけ…
- p02…ければ、政次、兩方に加勢も無くて軍あらば、國の大小と申し必定甲斐守打勝ちなん。され共容易く勝つべき計の一つ候。甲州は人に越えた…
- p02…と申し必定甲斐守打勝ちなん。され共容易く勝つべき計の一つ候。甲州は人に越えたる勇將にて、いつも先を駈けられ候。鐵炮に優れたる…
- p02…たる士五十人許擇みて、鎗の合ひ候時五人討取りなば、其中に必ず甲州有るべし、と答へて出でしを、さばかり長政を恨みて出奔せしに、…
- p02…取りなば、其中に必ず甲州有るべし、と答へて出でしを、さばかり長政を恨みて出奔せしに、今長政の武勇を譽揚げつるぞかし、と感ぜら…
- p02…るべし、と答へて出でしを、さばかり長政を恨みて出奔せしに、今長政の武勇を譽揚げつるぞかし、と感ぜられけり。政次、安藝に船を停…
高麗攻南大門合戰物語の事 拾遺 卷之一 · 11
- p01…川隆景は開城府に在り。都より五里を阻てその間に大河あり。其時黑田長政、久留米秀包も白川と襄陽に在り。小西、大友も此城に止まる。隆…
- p01…候。大谷、其段は我ら請人に立ち候由申され候に附、白川に有りし黑田長政へ此旨申遣し、早々開城府へ引入れ申すべし、と告遣しければ、長…
- p01…政へ此旨申遣し、早々開城府へ引入れ申すべし、と告遣しければ、長政も久留米秀包も小西行長、大友義統同道にて、文祿二年正月十五日…
- p01…祿二年正月十五日に、開城府迄引取り申され候に附、隆景、大谷、黑田、久留米、小西、大友同道にて川を渡りて王城へ引入候。隆景は右…
- p01…の言なり、と其場にて聞く人語られける。此時合戰未始らざる時分、黑田長政只一騎步侍七八人にて、隆景旗本へ見廻られ候。隆景見て、長政…
- p01…黑田長政只一騎步侍七八人にて、隆景旗本へ見廻られ候。隆景見て、長政は幸の所へ御越候。粟屋四郞兵衞、井上五郞兵衞を先手に申附候…
- p01…元なく候。貴殿先手へ越され、每事御指圖下され候へ、と申され候。長政喜悅の色見え、畏り候、とて先手へ越さる。頃は正月二十六日辰…
- p01…へ越さる。頃は正月二十六日辰剋なり。朝鮮は寒國にて寒事不斜。長政は大綿帽子を著し、甲は郞等に持たせられしが、隆景の先手へ出…
- p01…り。扨甲の緒をしめ先手へ出でられ候へば、隆景旗本數千の士卒共、長政先手へ御越候上は、今日の軍に勝ちたり、と總軍勢勇みたるとな…
- p01…先手へ御越候上は、今日の軍に勝ちたり、と總軍勢勇みたるとなり。長政の年を問へば、其時二十五歲なり。その齡にて如此。人に慥に…
- p01…齡にて如此。人に慥に思れ候は、中々凡人にては有るまじきなり。長政常に宣ひしは、立物指物は、海老は子にして差したる許にては、…
朝鮮攻に後藤又兵衞物見の事 拾遺 卷之二 · 6
- p01…朝鮮の役に黑田長政、後藤又兵衞尉基次を物見に遣さる。基次やがて馳向ふ處に、其道…
- p01…、早川上の味方の勢の川を渡りしと推量し、川邊より直に引返して長政の陣に歸り、味方の人々の內早川を越え給ふと存ずるなり。夫故敵…
- p01…も及ばず、立ちかへり候。急ぎ打立たせ給ふべし、と進めしかば、長政大に喜び給ひ、後藤基次が武勇の功者なること今に始めざる事なが…
- p01…たり。早打立たん、と云ひ給ひけり。基次是より前にも、朝鮮にて長政の先手山の端を廻りけるが、敵と出合せ戰ひしが、其ときのこゑを…
- p01…のこゑを揚ぐるを後藤聞きて、先手の戰味方打負けたり、といふ。長政聞き給ひ、山の戰を汝爰に有りながら、味方の負けしとは何を以て…
- p01…淸正も後藤が武勇を大に感じられけり。夫より戰功を盡しければ、黑田長政筑前入國の後、嘉摩郡大隈の城に置いて一萬八千石の采地を給はり…
同役岐阜落城の事 拾遺 卷之二 · 1
- p01…同役岐阜落城の時、黑田肥前守長政、藤堂和泉守高虎、田中兵部太輔長胤、生駒雅樂頭吉正、幸山伊賀…
同御合戰毛利秀元戰場にて東方へ返る事 拾遺 卷之二 · 2
美濃大垣にて八月廿四日より九月四日まで鐵炮迫合の事 拾遺 卷之三 · 1
- p01…にて、御褒美に緞子の羽織を被下となり。其謂は、天下普請の時黑田殿の衆と口論し、齒を少し折られながら相手を切倒し、利を得て金銀…
岐阜攻の時川々洪水によつて後藤又兵衞尋問の事 拾遺 卷之四 · 6
- p01…陣前々、福島正則、池田輝政外大名十二頭にて岐阜の城を攻むる。黑田長政、田中兵部少輔、藤堂高虎、桑山伊賀守、戶川肥後守は、大山押に…
- p01…は、大山押に居る。岐阜を攻むる最中に、大山の城明退き候に附、長政、高虎何も岐阜へ推詰め候內、岐阜落城に、長政、高虎等殘念に思…
- p01…城明退き候に附、長政、高虎何も岐阜へ推詰め候內、岐阜落城に、長政、高虎等殘念に思はる所へ、岐阜後詰として、大垣より石田三成、…
- p01…垣より石田三成、島津義弘、小西行長二萬餘にて合渡川迄押來る。長政、吉政、高虎、桑山、戶川等幸と悅び合渡川へ馳向ひ、大垣勢漫々…
- p01…が、遠々に畏り居る。高虎申され候は、あれに罷在る銀の天衝は、黑田殿御內後藤又兵衞と見えたり。呼寄せ彼が了簡を尋聞かん、とあり。…
- p01…御內後藤又兵衞と見えたり。呼寄せ彼が了簡を尋聞かん、とあり。長政の曰く、皆歷々寄りて埒あかざる談合を、何とて又兵衞了簡仕るべ…
豐前國紀伊谷紀伊彌三郞籠城の事 拾遺 卷之四 · 10
- p01…田如水をして豐前國に封ぜらる。日隈の城に一揆あり。如水の嗣子甲斐守長政兵を發して攻亡し、その外所々の戰に利を得て、武威廣大なり。然…
- p01…谷の紀伊彌三郞鎭房のみ不從、その勇畧逞き事等倫する人なし。長政是を攻めんと望まるれども、如水不許之。長政本意なき事に思…
- p01…倫する人なし。長政是を攻めんと望まるれども、如水不許之。長政本意なき事に思ひ、如水に忍び、密に紀伊谷へ取懸りて責之。紀…
- p01…水に忍び、密に紀伊谷へ取懸りて責之。紀伊が兵勢盛んにして、長政の士大に破れて討るゝもの數を不知。長政馬を深田へ乘落して、…
- p01…伊が兵勢盛んにして、長政の士大に破れて討るゝもの數を不知。長政馬を深田へ乘落して、鞍爪まで泥に沈みてせんかたなし。長政が馬…
- p01…知。長政馬を深田へ乘落して、鞍爪まで泥に沈みてせんかたなし。長政が馬は大龍寺とて九州一の名馬なり。長政今この馬を捨ば敵に奪は…
- p01…に沈みてせんかたなし。長政が馬は大龍寺とて九州一の名馬なり。長政今この馬を捨ば敵に奪はるゝ事を口惜く思ひ、捨兼たる所へ、菅和…
- p01…はるゝ事を口惜く思ひ、捨兼たる所へ、菅和泉守政利見て、我馬を長政に進めて行步立に成りて引かんとす。長政、菅が馬にのり、大龍寺…
- p01…和泉守政利見て、我馬を長政に進めて行步立に成りて引かんとす。長政、菅が馬にのり、大龍寺を敵に奪はれなば甚だ恥辱なり、と、引上…
- p01…人の力ならでは難揚候ゆゑ、鐙を片々取歸候、とて出しければ、長政、能計ひぬ、とて感ぜられたり。如此證なきときは、敵に奪ひ取…
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