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○林道春格言の事

卷之十八 第21話 · 段落 1 · NDL 1078984 292コマ R

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直孝或時林道春に物語して、樊噲が勇氣逞しきと聞く。されども弓箭取の珍しき事にもあらず。我とても噲が下に立つべからず、と言はれしに、道春、噲は誠に穢多の子にて筋目も勝り給へり。されども爰に一つの故の候。戰に臨みて矢石の中に先駈するのみを勇氣とは言ふべからず。是は匹夫の事なり。噲が顏を犯して高祖を諫め申せし事有り。足下には如何候べき。廣言を吐き給ふともよく〱自ら省られよ。噲に及ばぬ事の有るべき、といへば、直孝恥づる色あり。是は其比大猷院殿御病氣とて、大名に相見なかりし故に斯くいはれしとかや。世に道春一生の格言とせり。