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○脇五右衞門某氏三彌武功の事

卷之二十一 第15話 · 段落 1 · NDL 1078984 335コマ R

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五月六日井伊家の士脇五右衞門、今日の合戰は後より段々に押詰め來れば、大方の事にては功名遂げ難し。若き人々力の限り働かれ候へ、といふ處に、直孝の近習の士三彌といふ若年の士、首二つ取りて脇に見する。脇もまた二つ取りけり。翌七日三彌又首二つ取りて脇に見すれば、脇もまた二つ取りたり。後に老功の武名の聞え有り。人々集りたる處にて、三彌何れも老功の人とて崇め、其身も泰なる體を振舞はるゝ事ぞかし。大坂の軍に事變りたる事も候はず。老功とて崇め候は何の故ぞや、といふを、脇聞きて、此度汝の功名の如くなる事度重りたる者ぞ、といへば、三彌、さては子細もなし。吾功名の如きはいと易き事なり、と言ひけるとぞ。