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○增田兵大夫討死の事

卷之二十一 第16話 · 段落 1 · NDL 1078984 335コマ L

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增田兵大夫は長盛の子なり。大坂冬の軍に城中弱ると聞けば淚を流し、寄手の攻めあぐみたる、と人言へば大に喜びけるを、東照宮聞し召し、誠に長盛が子なりけり。豐臣家の恩を忘れざる志尤なり、と感じ仰せられ、夏の軍に御赦を蒙り、城中に入り、秀賴より賜りたる赤地の錦の羽織を著、若江の軍敗軍の中に獨蹈止り、澤田但馬が從者と引組んで組敷きたる處に、藤堂高虎の士母衣の者磯野平三郞走り寄りて討取り、其首を得たれども名を知らず。刀を分捕したるが、秀吉より長盛に給はりしもの故、兵大夫とは知られしとぞ。