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○廣田圖書が事

卷之二十二 第5話 · 段落 1 · NDL 1078984 343コマ R

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廣田圖書は水野勝成の士にて、大坂五月六日の軍に功有りしかば、明日は殿の馬前にて相働かん、といへば、勝成悅ばる。明石掃部が陣を打破る時、廣田鐵炮に玉藥を込み、一放と思ひて打つたるに、立消しければ、鐵炮を投捨てて鎗を取り、簗瀨又右衞門といふ敵に渡合せ突伏せられしを、勝成走寄り、簗瀨を討取られけり。後に鐵炮を見しに、火蓋を切らで有りしとなり。廣田人に語りて、事の急なるに臨みては、思ひの外に慌つるものなり。我旣に先駈殿數多して自負せしかば、殿の前にて鎗脇を打たんと思設けしに、斯く狼狽へぬ。天晴すべきと工みたる事の斯くの如くなれば、まして不意の事をや。能く思慮すべき事ぞ、と語りけり。