e606.p01校訂済431L:1–5肥前島原の役に、賊は有馬の古城に據りて守城す。寄手の諸將大手の門に附きて責る時、賊門を開き突出でたり。敵は高陽の地利に依りて、寄手を少し押立てたり。此時寺澤兵庫頭の旗奉行山路將監祿八百石兼てより旗差に令し、道端に生立たる木に令㆓取附㆒て、如何なる事ありとも此木を放すべからず、堅く捉へて居よ、と含置きけるゆゑ、崩かゝる勢に押立てられず。他の備は敗軍に押立てられて、旗色靡亂れたれども、寺澤の手のみ全き事を得たり。