e219.p01校訂済170R:10–13170L:1–1別原吉丸、酒井金三郞共に東照宮の近習に仕へ申しけり。伏見にて御庭に出させ給ふ時、原御太刀を持ちて庭に下り、草履はくに遑なく、跣にて蒔石の上に有りけるに、酒井草履を與へければ、人々譏るを聞し召し、子細を御尋あり。酒井承り、原は元下總の笛井の城主原一郞が子にて候。臣が先祖原に仕へしと承りぬ。昔の主君の緣、跣にて炎天に居たるを見るに堪かね候、と申しければ、本を忘れざるの士なり。吾子孫にも如㆑斯なるべし、と大に御感あり。