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○久世三四郞坂部三十郞物見の事

卷之十一 第3話 · 段落 1 · NDL 1078984 192コマ R

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東照宮何れの時の軍にや、久世三四郞宣廣、坂部三十郞廣勝二人を物見に出し給ふ。坂部は勇める色あり。久世は氣色甚だ惡う見えしかば、側より笑ふ人の有りしに、東照宮、坂部は天性の剛の者なり。久世が及ぶべきに非ず。然れども久世は人に劣りて生甲斐無しと思ひ定めたる者なり。其故に務めて勵む故、心を勞して其氣色顯れて見ゆ。今見よ、久世は坂部よりも敵近く進み行きて見て歸らん物を、と仰せける處に、二人歸り參りたるが、果して御詞の如くなりけり。東照宮、坂部は生得の勇を賴にして懈あり。久世は勵むをもて味深し、と感ぜさせ給ひけり。