e521.p01校訂済389L:10–13390R:1–1伏見にて越前黃門秀康卿御屋敷へ於國といふ歌舞妓女を召して、歌舞妓踊せて御見物あり。水精の珠數を襟にかけ舞ひたるを御覽なされ、水精は見苦し、とて御具足の上に御かけ成され候珊瑚珠の珠數を下され候。於國が舞を御覽なされ、御落淚有㆑之。御意には、天下に幾萬の女有れ共、一人の女と天下に評せられ候は此女なり。我は天下一人の男に成ること叶はず、あの女にさへ劣りたるは無念なり、と仰せられける。