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○輝政公武將の重寶を示さる事

拾遺 卷之二 第19話 · 段落 1 · NDL 1078984 404コマ L

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輝政公、武將の重寶とすべきは、領分の百姓と譜代の士と鷄と三品なり。それを如何と云ふに、百姓は田畑を作りて我上下の諸卒を養ふ。これ一つの重寶なり。譜代の士假令氣に不㆑應して扶持を放すと雖も、敵國にて彼者を實に扶持放れたると不㆑思して、間にも入るゝかと思うて疑ふ故に、敵國に逗留する事能はずして、終には我國へ歸りて我兵となる故、これ二つの寶なり。又目に見ゆる相圖、耳に聞ゆる相圖は、敵の耳目にかゝる事故に、容易く敵國にてなし難し。鷄鳴は誰も其相圖ぞと知らざる故に、卽ち敵國の鷄鳴にて一番鳥にて人衆を起し、二番鳥にて食し、三番鳥にて打立などと相圖を究めて、敵も其相圖を知らざるの德あり。此三つの重寶なり。是を三の重寶と立てし、と宣ふなり。