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○同牧方表に御旗を立てられ首御實撿の事

拾遺 卷之二 第30話 · 段落 1 · NDL 1078984 408コマ R

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同役、家康公牧方表に御旗を立てられ、今度討取り來る敵の首御實撿あり。公甲冑を召し拔身の御長刀を持たせられ、牧方前野御牀几に御腰を掛けられ、御張肘にて大坂の方に向はせられ、御前に御旗七本、金の扇子の御馬印、御鐵炮百挺火繩に火附け、御弓百張矢をはげ、御鎗百本拔身、御右に井伊、本多、大久保、酒井、榊原、御譜代の諸將伺公、少し上りて秀忠公初め奉り御一門方、御左は池田三左衞門、福島左衞門大夫、其外今度忠節の大小名毛氈を敷き張肘にて伺公す。外樣の大名は馬印立てし所に、具足櫃を引附々々伺公す。扨諸の首曲物に入れ上を絹にて包み、其絹ばかり取りて曲物の蓋を明けて首を出さず。其次に桶に入れたる首六つ七つ置く。其外誰々の手へ討取ると鼻をかき並べたり。然る時に公、扨首實撿あるべきや、と池田、福島兩將へ上意、御受には御時宜く御座なさせられ候旨申上る。其時立上り給ひ、長刀を御杖に御突にて、御張肘にて左の御脇を御眼じりにて上覽、其時前後左右大小名一同に頭を地に附け給ふ。各頭を上げて張肘にて伺公、御足拍子を左より御蹈み、さて右を御蹈み、又左にて御蹈納なさせらる。鯨波を曳々々と長く御上げ、諸軍一同にをゝと聲を上げ奉る。扨御長刀を御脇よりそと受取り奉り、秀忠公へ渡し進上仕る。秀忠公謹んで御頂戴あり。其後御長刀持人に御渡し、扨御盞ありしとぞ。