攝津半國の主
松山新介が勇將
中村新兵衞、度々の手柄を顯しければ、時の人是を鎗
中村と號して武者の棟梁とす。羽織は猩々緋、鍪は唐冠金纓なり。敵これを見て、すはや例の猩々緋よ唐冠よ、とて、未戰はざる先に敗して、敢て向ひ近づく者なし。或人强ひて所望して
中村與
㆑之。其後戰場にのぞみ、敵
中村が羽織と盔とを不
㆑見、故に競ひかゝりて切崩す。
中村戈を振つて敵を殺すこと許多なれども、
中村を知らざれば敵恐れず。
中村つひに戰沒す。依
㆑之曰く、敵を殺すの多きを以つて勝に非ず。威を輝して氣を奪ひ、勢を撓すの理を曉るべし。