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○近江國音羽城軍の事

卷之一 第4話 · 段落 1 · NDL 1078984 26コマ L

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文龜三年細川武藏守政元の臣澤倉といふ者、武略ありて近江を半切り從へけれども、蒲生下野守貞秀入道知閑、音羽の城に據りて澤倉と軍す。澤倉、音羽は山城なれば水乏しからん、とて水の手を取り切たり。知閑、敵より見ゆる矢倉の前に馬ども數多率出させ、白くしらげたる米を桶に入れ、汲み掛けて人々裸になりて馬を洗ふ。澤倉遙に見て、思ひの外に此城水多し。斯て久しく陣せば兵粮盡きなん、とて圍を解きて引退く處を、知閑案内はよく知りつ、小倉畷の要害に擊つて出で、一同に切り懸り、十分勝利を得たり。知閑は氏鄕の祖父なり。