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○三方ヶ原合戰信玄遠謀の事

卷之三 第31話 · 段落 1 · NDL 1078984 77コマ L

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三方ヶ原の軍終りて、皆濱松の城を攻めんと言ひけるに、信玄、勝て冑の緒をしむると言ふ言有り、とて軍を返されけり。此時信長は、白須賀に毛利河內守、山中に瀧川伊豫守、吉田に稻葉伊豫守、其兵三萬餘にて置かれたり。若し信玄勝に乘りて引取らずば、信長二萬五千を率ゐて押寄せ、毛利瀧川等も思ひも寄らぬ所に打つて懸る程ならば、必ず濱松よりも切つて出で、中に取込めて軍せん、と吉田より岐阜まで一里に一人の忍の者を置いて待たれけるに、信玄引き返されしによりて、信長の謀空しくなりぬ。