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○九鬼嘉隆蟹江の港出船の事

卷之六 第22話 · 段落 1 · NDL 1078984 128コマ R

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蟹江にて井伊直政兵を進む。秀吉の舟手大將九鬼大隅守嘉隆、日本丸といふ大船に乘り、蟹江の港に漕ぎ入れて打上り、堤を隔てて戰はんとせしが、引退きて船に乘るところに、入江の港に東照宮の兵船角新造と言へるを橫樣にして、左右に亂杭を打ち、眞中に取圍まんとす。直政は追懸くる。九鬼が者共多く討たれ、水主楫取驚き騷ぎて船を出し得ず。斯る處に九鬼が士村田七兵衞鐵炮に藥を込め、間宮造酒亮が舳先にて下知しけるに、大音上げて靜に相だめにするを、兩軍鳴を靜めて見物す。其中に九鬼が者共ひた〱と船に乘組たるは、村田が躬を捨てて沈めん爲の謀故なり。斯て村田思ふ矢坪に中りて間宮倒れしかば、九鬼が者共力を得鐵炮を打かけ、船を乘り浮めて港を出でにけり。