朝鮮にて、何れの所の事にや、廣き野に道有りて向うは山の麓なるに、大穴を構へ射手を伏置きて、行きかゝる日本人餘多射殺しけり。
黑田家の兵
井口與市が從者
山崎喜藏、いで參つて見申さん、と言ひも敢ず走り行き、
井口も馬より下り走入りければ、
山崎射手三人斬伏せる。
井口續て攻入り追散す。
井口、恩賞に望候はず。天晴朱柄の鎗免され候へ、といふ。物師共寄合ひて、武功度重るか、或は一日の中に首七つ取る時は朱柄の鎗持すると申す事の候。輕々しく許し難き事にや、といふ。
井口是を聞き、其後一日に首七つ取りて朱柄の鎗持せけり。