直江兼續、
惺窩藤斂夫に對面せんと言へ共聞入れられず。
兼續押して行きたれば不在なり。度々招けども行かざるに、今日來りたるにも逢はず。僞りて他に出でたるとや思はん、とて
直江が許に行かれしに、
直江其日
關東に赴きしかば、跡を追ひて
大津に至りて對面あり。
直江、廢れたる家を急に取立つる時、人臣の心得は如何に、と問ふ。
惺窩、事を速にせんとせば却りて敗るる基なり、とぞ答へける。後に
直江景勝に勸めて旗を揚げさせ、必ず家を滅すべし、と
惺窩言はれしが、果して
景勝に事を起させたるが、其功成らざりき。