東照宮、
志貴野にて功名せし
景勝の士大將に御感狀を賜はりしに、
安田上總介は橫鎗を入れて城兵を打破りし功大なりといへ共、
直江と不和なりし故に其功上に達せず。御感狀賜らざりしかば、其後人に向ひて、此度御感狀を拜受し給ひて目出度候。
上總一人は申し立つる人無くて、さばかりの武功空しく成りて候。然れども劣りし事は候はず。是程の事武功は申達する迄も無し。且
殿の御爲に命を捨てて軍仕り候。露塵許も
公方の爲にする事に候はず候へば、是より後も
殿をこそ大事に思ひ候へ。
公方の御感狀何條面目に存ずべきや、と語りしとぞ。