同陣、
二月二十一日の夜、城中より
黑田右衞門佐忠之、
鍋島信茂、
寺澤兵庫頭の三手へ夜討す。寄手數輩討死し、
鍋島の手を竹束井樓を燒拂ひ。賊の勢甚だ强し、と注進有りければ、
江戶御城へ
尾州、
紀州、
水戶の
三家、其外在府の諸將を召されければ、皆これを聞きて驚く色あり。
紀伊亞相賴宣卿のみ、近日落城すべし。
鍋島家の井樓に火をかけし樣子、城中知略のたけ知れたり。心を勞するに不
㆑足、久しからずして吉左右あらん、と仰せられけるが、程なく落城の告有りしかば、人皆
賴宣卿の明察を感じけり。