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○榊原康政秀吉を誹りて札を立てられし事

卷之六 第17話 · 段落 1 · NDL 1078984 126コマ R

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小牧陣の時榊原康政、秀吉の事を誹りて札に書き、織田家に向ひて弓を引く事、不義惡逆の至りなり、と書きて所々に立たるを、秀吉齒嚙して怒り、康政が首を取らん者には十萬石の地を與へん、とぞ觸れられける。其後東照宮と和平して婚姻の約有りける。始の使に康政を賜はるべし、と秀吉申されて京に上りしに、秀吉對面し、小牧にて札を立てたる時、汝が惡き首を一目見ん事をのみ思ひしに、今斯和睦に及べば其志を悅び思ふなり。此事を直に言はんが爲に迎へたり。小平太と呼ばんは如何なり。敍爵然るべし、とて式部大輔とは此時よりぞ申しける。偖饗禮有りて厚く馳走有りけるとぞ。