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○蒲生氏鄕大志の事

卷之九 第15話 · 段落 1 · NDL 1078984 166コマ L

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秀吉陸奧に赴き、蒲生氏鄕に八十萬石の地を賜はりけり。氏鄕退出し柱に倚掛りて淚ぐみけるを、山崎の某居寄りて、辱く思はれん事尤なり、と言ひしに、氏鄕私語て、吾都近き所にて小き國一つ賜はらば終に天下に旗を揚げなんに、邊鄙に棄てられたれば何事か仕出すべき。志の空しく成りたるに依りて覺えず淚の流るゝよ、とぞ語られける。