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○氏鄕伊達家の刺客を免されし事

卷之九 第18話 · 段落 2 · NDL 1078984 167コマ L

人物地名家(氏)官職日付索引へ

伊達政宗、蒲生氏鄕の威に壓るゝ事を心中に深く憤りて、氏鄕を殺すべき事を思案して、數代家に仕へし者の子に、淸十郞と言へる十六歲に成りける者、容貌勝れて艶なりしに、密に工める事を語り聞せ、田丸中務少輔が兒小姓に出して奉公させられけり。田丸は氏鄕と姻家の親み有れば、來られん時使を伺ひて刺殺せ、との事なり。淸十郞が父の方へ遣しける書を關所にて改め見しより事起りて、其謀の泄れたりしかば、淸十郞を獄に押入れ、此事を秀吉に告ぐると雖も、秀吉遠く慮りて强ひて伊達家と和平せさせられぬ。氏鄕、淸十郞を呼び出し、吾過ちて罪なき義士を獄に入れ辱を與へたるよ。其君の爲に命を捨てて忠を致す、賞するに餘り有り。疾く〱伊達家に歸るべし、と禮義正しく遇して歸されけり。