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○志賀親次山海が嶺に兵を伏する事

卷之八 第9話 · 段落 1 · NDL 1078984 154コマ R

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島津義久大友を攻め、所々に亂れ入り、志賀太郞親次獨義久に降らず。義久松の尾の城に在りて秀吉大軍にて九州に渡らるゝと聞きて、薩州に引退く。親次大に悅び、嶮岨の地に兵を伏せて打破る可し、とて鐵炮の手利二十人擇み出し、山海が嶺の林に待たせけり。然る處に首藤五郞大夫、堀八郞と言ふ者、此度の撰に殘りけるを口惜き事に思ひ、密に道に隱れて薩摩武者二騎打落してけり。扨は伏兵有るぞ、と言ふ程こそあれ、大軍林に入り草を分けて探しければ、二十人の者共力無く、藥を惜まず散々に打懸け、追ひ來る者共打殺して引退く。親次大息吐いで、義久をば山海が嶺は越すまじき物を、天の祐に逢ひたる義久なり、と云はれけり。